このような疑問にお答えします。
- 筆者は大手建設会社で設備設計に従事【電気のプロ】
- 第2種電気主任技術者として特別高圧ビルを監督
- ブレーカーにはどんな種類があるか
- ブレーカーが落ちるのはどうしてか
- ブレーカーが落ちた時の対応方法
- ブレーカーを落ちなくするための方法
ぜひ参考にしてください。
家庭用ブレーカーの種類
家庭用のブレーカーには、3つの種類があります。
- アンペアブレーカー
- 安全ブレーカー(配線用遮断器)
- 漏電ブレーカー(漏電遮断器)
アンペアブレーカー
アンペアブレーカーとは、家庭で使える電気の量を決めるブレーカーです。
30A(アンペア)のアンペアブレーカーがついていれば、家全体で30Aの電気が使えることを意味しています。
電力会社から送られてくる電気はアンペアブレーカーに流れます。
それを用途ごとに、このあと説明する「安全ブレーカー」と「漏電ブレーカー」に分配します。
安全ブレーカー(配線用遮断器)
安全ブレーカーは正式には「配線用遮断器」といいます。
安全ブレーカーは基本的に場所や設備ごとに設置されています。
たとえば、キッチン、トイレ、浴室、ベッドルームなどです。
また、エアコンや洗濯機など大型の設備には専用の安全ブレーカーが使われていたりします。
これはキッチンで電気を同時に使いすぎた場合、キッチンだけのブレーカーを落とすことで他の場所に影響を与えなくするためです。
ただし、安全ブレーカーは漏電という配線ケーブルの劣化やコンセントに水がかかって電気が漏れる事故は防ぐことができません。
漏電を防ぐためには専用の漏電ブレーカーを設置する必要があるのです。
漏電ブレーカー(漏電遮断器)
漏電ブレーカーはさきほどの安全ブレーカーと使い方は似ています。
違いは、主に水気のある場所や水を扱う電化製品に使用する点です。
たとえば、食洗機や洗濯機、キッチン周りのコンセントは水がかかる危険があるため、安全ブレーカーではなく漏電ブレーカーを使うことが多いです。
漏電ブレーカーは安全ブレーカー同様に、電気を一度にたくさん使った場合に落ちる機能があるとともに、漏電でもブレーカーが落ちる仕組みになっています。
家庭のブレーカーが安全ブレーカーか漏電ブレーカーかどうかは分電盤の中を開いてブレーカーの見れば一目でわかります。
分電盤の中は電気が流れているため、扱う際は注意しましょう。
ブレーカーが落ちた場合の対応方法
アンペアブレーカーが落ちた場合
アンペアブレーカーが落ちてしまった場合どうしたらよいか。
アンペアブレーカーは一番大元のブレーカーのため、これが落ちてしまうと家全体が停電します。
通常、アンペアブレーカーの下にぶら下がっている安全ブレーカーや漏電ブレーカーが落ちるため、アンペアブレーカーが先に落ちることはありません。
ですが、キッチン、リビング、子ども部屋、浴室など家中で電気をいっぺんに使うと大元のアンペアブレーカーが落ちることがあります。
アンペアブレーカーが落ちてしまった場合、すぐにブレーカーをあげるのではなく、まずは使っていた電化製品をOFFにしましょう。
これはブレーカーをあげた際に、電気が一気に流れて電化製品が破損するのを防ぐためです。
そのため、電源が切れるものは電源をOFFにするか、コンセントを抜いておきましょう。
そのあとにアンペアブレーカーを上げれば電気がつきます。
安全ブレーカー(配線用遮断器)が落ちた場合
家庭のブレーカーが落ちる場合、たいてい安全ブレーカーが落ちます。
具体的には、電子レンジとポットを同時に使った場合や、エアコンと電子レンジ、ホットプレートを同時に使った場合などです。
安全ブレーカーは部屋ごとについていることがほとんどのため、キッチンやリビングなど一箇所でまとまった電気を使うとブレーカーが落ちてしまいます。
ブレーカーが落ちてしまったときは、アンペアブレーカーと同じように、すぐにブレーカーをあげるのではなく、使っていた電化製品をOFFにしましょう。
特に、ホットプレートなどはブレーカーをあげるとすぐに加熱が再開するものもあり、ヤケドや家事の原因にもなります。
必ず電源を切るか、コンセントを抜くようにしましょう。
漏電ブレーカー(漏電遮断器)が落ちた場合
最後に、漏電ブレーカーが落ちた場合です。
これはさきほどの安全ブレーカーの場合とほとんど同じです。
漏電はコンセントに水がかかったり、電化製品のケーブルの劣化が原因で発生します。
漏電が原因でブレーカーが落ちた場合は、まず使っていた電化製品のコンセントを抜きましょう。
漏電の場合は電源をOFFにしただけでは、ブレーカーをあげた際に再度漏電が発生する可能性があります。
必ずコンセントから抜くようにしましょう。
さらに、漏電でブレーカーが落ちると、漏電ブレーカーにある「漏電表示ボタン」という黄色(または白色)のボタンが飛び出します。
これを元の状態(押し込まれた状態)に戻してあげないとブレーカーが上がりません。
そのため、安全を確認したのち、漏電表示ボタンを押し込み、そのあとでブレーカーをあげます。
急いでブレーカーをあげずに、周りの状態をよく確認しましょう。
まとめ:ブレーカーが落ちる理由は2つ
最後に本記事のまとめです。
- 電化製品の同時使用
- コンセントに水がかかったり、ケーブルの劣化による漏電
ブレーカーが落ちた場合は、すぐにブレーカーをあげるのではなく、ブレーカーが落ちた原因を考えましょう。
電化製品を同時に使ってしまったことが原因の場合は、電化製品の電源をOFFにし、安全を確認してからブレーカーをあげましょう。
また、漏電が原因だと思ったらどこで漏電が発生したかを検討します。
コンセントに水がかかってしまった場合は無理に拭き取らず、水気が乾くのを待ってからブレーカーをあげましょう。
家電製品の経年劣化が原因の場合は、新しいものに買い替えるなど劣化した製品を再度使わないようにしましょう。
電気は目に見えませんが、とても危険なものです。
ブレーカーは感電などの危険から私たちを守ってくれている大切なものです。
ブレーカーが落ちたときは、しっかりと原因を考え、適切に対応しましょう。